常在寺 縁起

寶樹山 常在寺

日蓮宗のお寺

常在寺は、山梨県の身延山久遠寺(みのぶさん くおんじ)を総本山とする日蓮宗の寺院です。
日蓮宗は、宗祖日蓮聖人(にちれんしょうにん)が鎌倉時代に立教した宗派で、お釈迦様をご本尊としています。
日蓮聖人は、お釈迦様の功徳のすべてを表す「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」のお題目を唱えることによって、仏と一体になり真理に到達できる、と説き民衆に広く信仰されるようになりました。

開創 1506年

開祖、日純聖人によって常在寺が世田谷の地に開かれたのは、今をさかのぼること五百余年、室町時代のことです。(1506年/永正三年)
開創の頃の常在寺を支えた開基は、のちに世田谷城主、吉良公の側室となった常盤姫(ときわひめ)でした。日純聖人の説法に触れ信心を篤くし、世田谷の地にお堂を建立しました。常在寺の山号「寶樹山(ほうじゅさん)」は、常盤姫の法号(戒名)「寶樹院殿妙常日義大姉」に因んでいます。

中興の祖、そして開創500年記念事業

開創から約200年、江戸中期の頃の常在寺住職、日妙聖人は中興の祖と言われる聖人でした。
日妙聖人の頃に建てられた常在寺の旧本堂はその後約300年、檀信徒の皆さまの心の支えとなってきました。
そして現在の本堂は、常在寺開山500年を記念して平成14年に建立したものです。

総本山 身延山・久遠寺

日蓮宗の総本山(祖山)は、山梨県の身延山 久遠寺。日蓮聖人の布教活動の中心で、遺骨が奉納されています。
また、日蓮聖人ゆかりの重要な遺跡、そのほかの由緒ある寺院を大本山と呼んでいます。
誕生寺(千葉)、清澄寺(千葉)、中山法華経寺(千葉)、北山本門寺(静岡)、池上本門寺(東京)、妙顕寺(京都)、本圀寺(京都)です。
そのほか一般に親しまれている寺院に寅さんで有名な柴又帝釈天、雑司ケ谷の鬼子母神などがあります。

サギ草伝説

常盤姫については、少し悲しい伝説が残っています。
世田谷城主、吉良頼康公の十番目の側室となった美しい常盤姫は、他の女房たちの妬みを受け、その謀略によって無実の罪を着せられました。ついに身の危険を感じて城を出ましたが、吉良公の命を受けた追っ手が迫り、ついに自害しました。その逃避行の途中、菩提寺である常在寺に立ち寄り、井戸の中に守り本尊であった鬼子母神像を投げ入れた、とされています。

また、逃避行に先立ち、奥沢城主である父にあて助けを求める手紙をしたため、かわいがっていた白鷺の足に結んで放ちましたが、鷺も城を目前に力尽きてしまいました。
村人たちが鷺を葬った場所には、翌年の夏から一面にさぎ草が咲き乱れるようになりました。さぎ草は、現在も世田谷区の花に指定されています。
常盤姫のお墓は、常在寺の境内に歴代住職のお墓と並んで立っています。自害した場所には常磐塚が立てられ、毎年ご命日に法要が営まれます。