【お寺の秘密】“さんもん”ってなに?

日本中に7万ヶ所以上もあると言われているお寺ですが、通常、いくつもの建物が集まって、ひとつのお寺を構成しています。

調べてみると、建物ごとにそれぞれ独特の呼び名があったり、役割があったりと、思わず「へー」と感心してしまうこともたくさんあります。

今回は、お寺に入る時にくぐる大きな門。

“さんもん”についてお話します。

お寺ってなに?

まずはじめに、お寺ってなに? ということから。

ずっと昔、仏教が生まれたばかりのころ、お釈迦様やその弟子たちは一か所にとどまらないで、移動しながら修行や伝道を行っていました。

その後、信者から修行する場所として精舎(しょうじゃ)を寄進され、そこに住みこんで修行をするようになります。

この精舎がお寺のはじまりと言われています。

町中にあっても“山門”とはこれ如何に?

お寺の正門のことを「山門(さんもん)」と言います。

この門は、世俗の世界と仏道の世界の境にある、大切な門です。

昔、お寺は人里離れた山奥に建てられました。

その理由にはいくつかの説がありますが、静かな山の中で、修行に専念しようということもあったようです。

こうした由来から「oo山◇◇寺」というように山号をつけるようになって、平地に建てられたお寺の門も「山門」と言われるようになったそうです。

常在寺にも「寶樹(ほうじゅ)山」という山号があります。

また、「さんもん」を「三門」と書く場合もあります。

これにも諸説あります。

ひとつには、お寺には本来、外山門、中門、正門の3つの門があるのが正式な姿であるから、というもの。

また、三解脱門(迷いの世界を抜け出すための3つの方法)を省略したもので、悟りを得るために通らなければならない門を表しているといった説もあります。

なお、飛鳥・奈良時代に建設されたお寺には「山門」という呼び名はなく、中門が山門に相当するといわれています。

山門の門番は誰?

山門の両脇には、筋骨隆々とした像がよく立っているのを見たことはありませんか?

仁王像、または金剛力士像とも呼ばれるお寺の守護神で、お寺に修行の邪魔となるものや、悪いものが入ってくるのを防ぎます。

目をカッと見開き、大きく口を開いた「阿形像(あぎょうぞう)」と、んッと口を結んだ「吽形像(うんぎょうぞう)」の2体で一対が基本とされています。

「阿(あ)」は口を開いて一番初めに出す音、「吽(うん)」は口を閉じて出す一番最後の音として、宇宙の始まりから終わりまでを表しているとも言われます。

その姿は一般的に上半身は裸ですが、中には甲冑を身に付けていたり、また1体で阿形と吽形の2つを表しているという像もあります。

また、仁王像の代わりに仏教を保護する武将神である四天王を山門に安置しているお寺もあります。

写真の山門は常在寺の山門です。左右対称で均整の取れたプロポーションとなっています。奥に見えるのは常在寺の本堂です。