【お寺の秘密】袈裟のはじまりはボロ布だった?

お坊さんたちとお話する中で、「初めてお会いする方と話をする際に、着物の話題を振られることがある」ということがありました。

夏であれば「着物は涼しそうで良いですね」とか、寒い季節では「作務衣って寒くないですか?」というような具合のようです。

おそらくあまり僧侶と話し慣れていない方が、お坊さんを目の前にして、「何をお話すればいいかわからないな~」と思った時に、目についた服装について話題を提供してくださっているのでしょう。

でも、確かに考えてみると、お坊さんの装いは独特です。

髪型も、着物も、袈裟も、お寺の中では当たり前のことでも、例えば一般の企業にお勤めの方から見たら「お!?」と思われるかもしれません。

そこで、今回は僧侶の服装の中でも、袈裟についてご説明します。

袈裟は捨てられた布から作っていた

袈裟というのはお坊さんがまとっている、あの布のことを言います。

サンスクリット語で「壊色(えしき)」や「濁色(じよくしよく)」(濁った色といった意味です)を表す、「カーシャ」という言葉が語源と言われています。

法衣(ほうえ)とか、糞掃衣(ふんぞうえ)ということもあります。

お坊さんの袈裟を見ていると、見た目にも鮮やかで、きれいなものがたくさんありますが、なんで「糞掃衣」という呼び名があるのでしょうか?

実は、仏教が生まれた当初、インドでは、僧侶は捨てられたボロ布を拾い、つなぎ合わせて衣を作っていました。

当時、出家したお坊さんが個人で財産を持つことは禁止されていました。服も財産と考えられていたため、捨てられるような布、それこそ汚物ですとか、汚いものを拭くくらいしか使い道がないような布を、大切に使っていたのです。

その後、仏教が中国に伝わると袈裟の役割も変化し、僧侶を表すものになりました。さらに日本に伝わると、より華美なものとなって僧侶の位を表すようになります。

スーツの上にかける袈裟もある?

袈裟は七条袈裟、五条袈裟など、さまざまな種類があります(小さな布をつないで細長くした布を条と言います。七条はその布が7列、五条はその布が5列という意味です)。

宗派によっても、僧侶の位によってもいろいろな決まりごとありますが、一目見て瞬時に「これは○○宗の、この位の方だな」と判別するのは、たとえお坊さんであっても難しいと思います。

また、袈裟というと着物の上にかけるもののイメージがありますが、スーツの上から身に付けることができる袈裟もあります。

修行や仕事をしている時に袈裟をかけていたらちょっと、動きにくくなります。

そんな時、輪袈裟と言って、首からかける袈裟があるのです。

お坊さんも出かける先によっては、スーツを着て出かけることもありますが、そんな時にはスーツの上から、この輪袈裟をかけることもあります。